2009年4月2日木曜日

タイミングチャートの作図ツール

この手のブログで避けて通れないのがタイミングチャートによる説明です。クロックなどの繰り返し波形あり、波形のエッジの前後関係の厳密さあり、論理反転した波形ありでソフトウェアツールによる作図が最適と思えます。

PowerPointとかVisioを駆使して作図するのも疲れるので、巷の人たちはどのようなツールを使っていらっしゃるのだろうと調べてみましたが、あまり決定番ってないんですね。Excelのマクロなども含め、フリーのツールもいくつか(国産2つ、海外産2つ)試してみましたが、どうもぴったりしたのがない。結局は等幅フォントを使ったプレーンテキストで描くのが一番早くて楽だったり、何しろ何でも描けて自由ですから。で、このブログではいまだにテキストで描いたものを張り付けている次第なんですが…。

今回は試したフリーのツールの中で一番よくできていたものを紹介します。"TimingTool"というそのものずばりの名称で、"MOHC Ltd."という---おそらく英国の会社・詳細不明---の製品が商品化されており、その試用版"TimingTool Lite"がそれです。リンクはここから。とりあえずスクリーンショットを見てみましょう。


なかなか本格的な面構え。製品版とほとんど同じなので当たり前ですが。今回のDROのタイミングチャートを書くのに使おうと思って、途中まで入力してみたものです。どんな特徴があって製品版と何が違うか。
  • Java-Appletでオンラインで動くのでダウンロード、インストール不要。とりあえず動かすのにはユーザ登録も不要。
  • ユーザ登録をすれば専用のワークスペースを先方のサーバー上に作ってくれ、データをワークスペース上に保存しておける。
  • 試用期間に制限はない。(この製品が存続する限り?)
  • 製品版ではタイミング解析とかその他の高級な機能(HDLツールやマクロ)が使えるが、これは使えない。それ以外の機能は"lite"でも変わらない(らしい)。
  • デジタルの波形のみ。アナログ波形は不可。
  • 波形の形状がわりときれい(主観です)。
  • 印刷出力もしくはエクスポート出力には必ず"TimingTool"のロゴが入る(製品版は不明)。下は印刷プレビューのショット。



  • エクスポートのフォーマットは↓こんな感じ。ただし、長ーい周期をズームアウトして1枚にまとめたりするとき波形がつぶれます。そのつぶれ方がちょっと変。なるべく波形をつぶさない大きさで出力するべし。これは印刷も同じ。
  • コメントやテキストの入力では、下付き文字、上付き文字、オーバーバーなど文字の装飾がいろいろ選べるが、日本語は入らない。化けるんじゃなくて、そもそも入力できない。
  • UIがかなり特殊な部類。エッジの左をクリックしたときと右をクリックしたときで挙動を変えるとか。右をちょっと長めにクリックしっぱなしにすると別のメニューが出るとか。
  • Javaベースなので動きはちょっと遅め。サーバーも重め。
上にも書きましたがUIがちょっと特殊なので、波形のコピーとかやり方をマスターするのに苦労しました。ディレイやセットアップ/ホールドなどのパラメータをきっちり入れることもできますが、今回はそこまで試しませんでした。でも、使いこなせばかなり高度なことができそうなので、試す価値はあると思います。(なにしろタダですから!)

なお、日本では一般に「タイミング図」や「タイミングチャート」などと言いますが、ググった感じ、英語では"Timing Diagram"というほうが通りがいいようです。検索の参考までに。

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