2008年10月14日火曜日

なぜPONGなのか(4)

ここまで来てやっと「なぜPONGなのか」がお話しできます。

PONGは今や当たり前となっているコンピュータ+VRAM+ソフトウェアの方式とは構造をまったく異にしています。

テレビがスキャンビームを左から右に、上から下に振って絵を描き出すその仕組みを直に利用しています。テレビ画面はもとから2次元ではなく、織物をほどいて時間軸方向に引き伸ばしたものを、逆の手順をたどって織り上げたものです。今まさにスキャンビームが通るその瞬間を捕まえて輝点を打つ、そのタイミングが画面上の座標に対応します。その瞬間を捕まえるのに多数のカウンタとコンパレータが活躍するのです。

ゲームの進行もコンパレータでの一致検出とカウンタの計数方向の反転だけで実現されています。動物に例えると条件反射あるいは脊髄反射的といえましょう(図らずも同じ「反射」ですね…)。そこにはソフトウェアのソの字もありません。

現代人にとっては、ゲームとしては単純すぎて、遊ぶにはすぐに飽きてしまいますが、コンピュータではなく「デジタル回路」と「テレビジョン技術」の学習としては実によくできた教材になるのではないでしょうか。

0 件のコメント: